『刻刻1』堀尾省太

  • 刻刻(1)
  • 著: 堀尾 省太
  • 販売元/出版社: 講談社
  • 発売日: 2009/8/21

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電子書籍で一巻だけセール価格で売っていたので試しに買ってみたら、面白かったのでびっくりした。
漫画に関してはあまり新規開拓をしていないのでこんな漫画があったことすら知らなかったし、少なくとも一巻の表紙を見る限りでは得体のしれない化け物が描かれているうえに、題名の『刻刻』という文字からしてホラー系の感じがするので僕の好みの範疇ではなさそうな、特に書店で見かけたとしても手に取ることすらしそうもない雰囲気を醸し出していたので知らなかったのも無理は無い。
しかしだまされたと思って読んでみたら中身は全然違って、ホラー的な要素はあるけれども、時間を止めるという不思議な石の存在とその石を持つ主人公一家、そしてその主人公一家を襲う謎の集団、さらには時間の止まった世界で現れる異形の「管理者」の存在などなど、なかなか僕好みの展開をしてくれるのだが、登場人物に魅力が欠けるという点が惜しい所。
主人公を含め登場人物全員が地味で、主人公の父親はうだつのあがらないデブのおやじだし、主人公の兄はニート。もっともこんなキャラクターであっても物語が日常の悲哀の物語だったら構わないのだが、生憎とこの物語は非日常のサスペンスの物語なのだ。唯一の救いは主人公の祖父の存在で、彼だけが不思議な石の力のことを知っていて、さらには時間の止まった世界で短距離ではあるが空間転移をすることができるのだ。この先、主人公が祖父以上の活躍を見せてくれるかどうかはわからないけれども、老人が活躍する物語は嫌いではないので、主人公の祖父には活躍の場を与えてほしいなあと思う。

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