『碧空の果てに』濱野京子

  • 碧空の果てに
  • 著: 濱野 京子
  • 販売元/出版社: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 

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ここではない場所、架空の世界を舞台にした異世界ファンタジーとでもいえばいいのだろうか。もっともファンタジーといっても剣は登場するけれども魔法は登場しない。主人公メイリンはとある国の王女なのだが怪力の持ち主で、男性優位の世界であるがゆえにその怪力は何の価値も見出されず、父親に結婚させられようとする。
それに反発したメイリンは自由と自分の居場所を求めて出奔し、やがて別の国へと辿り着く。そしてその国の首長と出会いその首長の従者として過ごすうちに……というのがおおまかな内容で、良くも悪くも正統派の児童文学であり少女向けの物語でもある。あまりにも正統派すぎてひねりの効いた物語が好きな身にとっては物足りなくもなるのだが、物足りないことは最初から承知のうえで読んでいるのでそんなことは気にはならない。むしろ、たまにはこんな正統派の児童文学を読むのも気持ちがいいというものだ。それにラストがなかなか良い。長編といえども短い話なのだが、長い長い物語の果てに辿り着いた場所という感じがする。まさに題名通りの終わり方だ。
子供の頃に読んでいたらもっと楽しめたかもしれないことを思うと、今、こういう物語を読むことができる子どもたちがうらやましい気持ちも起こるのだが、今の子供たちはこの程度じゃ物足りないと感じるかも知れないよなあとも思ってしまう。

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