この本のタイトルである『人生は二日だけ』という言葉だけ取ってみた場合、どんな話なのかはいくつか想像できるのだけれど、表紙の絵柄を加味して考えるとうまくマッチした内容が想像できないので読んでみた。
主人公がこたつで夕飯を食べていると、一人の少女がいきなり現れて、主人公の姉はどこにいるのか聞いてくる。主人公は姉と二人暮らしなのだが生憎と仕事で出張中でいない。そもそも、玄関の鍵はかかったままでいきなり部屋の中に現れたことからこの少女が普通の人間であるはずもない。しかし、怪しい存在ではありながらも恐ろしさは微塵も感じさせず、当の本人が生まれたばかりだというとおり、赤ん坊らしいあどけなさと愛らしさがある。そんなわけで、主人公は姉が帰ってくる翌日までこの少女と二人で過ごすこととなるのだが、その過程で姉の過去のことを思い出し、この少女の正体にたいしておぼろげならがも気づき始める。
少女の正体は主人公が気づいた時点で読みても想像がつくのだが、この物語の面白さというのはそういう部分ではなく、心の機敏の部分にある。と同時に主人公たちの、不思議な出来事、深刻な出来事が起こっている割にはどこかのんびりとした、あまり深刻になり過ぎない様子がどことなく坂田靖子の描く登場人物達を彷彿させる。重苦しい題材でありながらも口当たりは悪くないのだ。
どことなく懐かしさを感じさせるのはやっぱり全体が一昔前のの少女漫画っぽい雰囲気だからかもしれないが、たまにこういう漫画を読むのもいいなあと思う。
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