いよいよラスト手前の22巻。
巻末の次巻予告では次の23巻が最終巻であることが予告されていて、というよりも既に23巻が最終巻であることは知っていたけれども、やっぱり『ギャラリーフェイク』を超えるまでは続かなくってなおかつ23巻で完結となったので二番目に長かった『ダブル・フェイス』と『太郎』も超えることは無かったのはちょっと残念な気もする。
一巻を読んだ時からそうだったけれども主人公の行動目的が不明でなおかつ物語そのものがどこに向かおうとしているのかもわからない状況で始まったこの物語は混沌として魑魅魍魎が渦巻いているという点でテレビという世界そのものを描いていたということでもあるのだが、この、読んでも読んでもどこに向かっていくのかさっぱり見えてこない物語の運び方というのは、浦沢直樹の延々と物語を引っ張り回す物語展開と似ているようで異なっていて、作者の資質の違いそのもののようで興味深い。
浦沢直樹の場合は物語を延々と引っ張りそして振り回しながらも最後の一巻でそつなくまとめあげてしまうのだが、細野不二彦の場合はそれよりも実直というかオーソドックスで、少しづつそれまでの伏線を回収していく。なので主人公の生い立ちもきちんと描いて、それが途中で実はこうだったと翻ることなく地続きで物語に組み込まれていくので、ある意味安心して読むことができるのだ。
コメント