『海月と私』 麻生みこと

  • 海月と私(1)
  • 著: 麻生 みこと
  • 販売元/出版社: 講談社
  • 発売日: 2013/8/7

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ドラマ化された『そこをなんとか』は面白かったので、原作のほうも読んでみてもいいかなと思ったのだが八巻まであるのでちょっとひるんでしまって、少しずつ読めばいいかなと思っていたら、『海月と私』のほうが単行本化されこちらのほうはまだ始まったばかりだったのでまずこっちの方から読んでみることにした。それにこの本の表紙が吉田秋生の『海街diary』っぽい雰囲気だったせいもある。
主人公は小さな旅館の経営者。しかし唯一の従業員が歳で亡くなり、もともと熱心に経営していたわけではないので廃業するつもりで、廃業するまでの短期間だけ仲居のアルバイトを募集するのだが、そこにやってきたのが若い美人の一人の女性。とてもこんな寂れた旅館で働くのには似合わなさそうなのだが、なにやら彼女にはいわくがあるらしい。
基本的には、宿にやって来た泊まり客の抱えている問題を二人がどたばたしながらもなんとなく解決して、最後はほろりとさせるちょっといい話で終わるという展開なのだが、いわくありげながらも明るく元気な彼女に翻弄される生き方に不器用な主人公との掛け合いや、のんびりと進む物語の時間の流れは心地よく、まるで自分自身もこの旅館に泊まっているかのような錯覚さえ覚える。そんな雰囲気が楽しい物語だ。

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