『もう体脂肪率なんて知らない』 三好銀

  • もう体脂肪率なんて知らない
  • 著: 三好 銀
  • 販売元/出版社: KADOKAWA/エンターブレイン
  • 発売日: 2014/2/24

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三好銀の新作、なんだけれども出たのは今年の二月で読み終えたのもそのくらいの時期で、その感想を書くのが今というのはいかがなものかという気もするけれども、それはともかくとして、相変わらずの内容と作風だったので期待通りであり、その点においては安心できる内容だった。
もっとも、純粋に内容だけを見れば、決して安心できる内容ではなく、いわく有りげな怪しい登場人物たちが、あたかもそれが当たり前のごとく平然と日常生活を送っていて、それでいて、その日常の物語はやはり不気味で、犯罪めいた出来事がほのめかされ、さらにいえば今回の舞台となる町はもともとは映画のセットとして造られたのだけれど、撮影が終わった後に人々が住みだして町となったというおかしな町で、その町が三好銀の独特な遠近感の描き方でもって描かれるので読んでいてまったくもって安心することの出来ないゾワゾワとした感覚に襲われ続ける。
町や登場人物達、そして物語の背後になにやら不穏な設定がかくされているとこをあからさまに匂わせながらもそれを匂わせたまま読み手の判断に委ねている状況は、クリストファー・プリーストの作風にも似ているのだけれども、それを絵でもって行っているのでたちが悪いし、それが癖になるのだ。

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