ミステリといえば密室殺人で、SFといえば破滅物が好きだった僕は、映画といえばパニック物が好きだった。もちろん今でも好きなんだけれども、パニック物の映画が好きだった理由はというと破滅SFが好きだったのが原因のような気もしていた。
しかし、この本を読んでみると僕が好んでパニック物映画を観ていた時代、映画はパニック物が一つのブームでさらにいえばテレビで放送される映画もパニック物が多く、ようするにその時代、僕だけではなくみんながパニック映画を好きだったようなかんじでもある。
まあ確かに、『ポセイドン・アドベンチャー』とか『タワーリング・インフェルノ』とか観たら夢中になるのも不思議ではなく、作者も書いているように、パニック映画がその手法としてグランドホテル形式を選んだ時点で、これはもう最強・最善の組み合わせで、パニック映画の始祖でもある『大空港』がグランドホテル形式の手法でもって、パニック映画というつもりで作ったわけでもないのに結果としてとしても観ることができる映画を作ってしまった時点で、パニック映画の隆盛と衰退は決定的なものだったのだろう。
そんなわけで、作者とはほぼ同世代で、なおかつこの本に書かれている映画も半数以上は観ていて、書かれていることにもまったくもって異論なしで、しかも『フライング・ハイ』や『弾丸特急ジェット・バス』に関しても紙面が割かれているとあっては嬉しい事このうえない一冊だった。
気になったのは、『タワーリング・インフェルノ』でスティーブ・マックイーンが演じた消防士の名前で、僕はずっとオハラだと思っていたのだが、この本ではオハラハンとなっていたことだ。で、調べてみると、テレビで放送された時の最初の吹き替えではやはりオハラとなっていたようだった。
そうか、僕が見たのは最初の吹き替え版だったんだね。
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