見上げる空はトルコの夜空

誰が言った言葉なのか忘れてしまったがこんな言葉がある。

アイデアってのは落ちているものじゃなくって頭上に浮かんでいるもんなんです。だからいつも上を見ていなければ見つけられません。
たまに落ちているアイデアもあるけれども、あれは腐って落ちたものです。

夕食を食べ終わって、妻と二人でのんびりとしていると、妻がふいに、
「甘いケーキみたいなものが食べたいと思わない?」
と聞いてきた。
食べたいか食べたくないかと言われればもちろん食べたいのだが、生憎と妻や僕が望むような甘いものは我が家の何処にもない。
食べたいのであれば、買いに出かけるしかないのだが、二人ともアルコールを飲んでいる。
歩いて行くことのできる範囲だと近所のコンビニしかない。もちろんこの場合の近所といっても歩いて行くことができるギリギリの許容範囲の距離の近所だ。
そこまでして食べたいとは思わなかったのだが、歩くということは妻にとってはいいことだ。
人と出会うことを嫌う妻にとっては夜という時間は安心して外にでることのできる時間でもある。と、いうことで二人で出かけることにした。
夜空の三日月が綺麗だった。そしてその隣に星が二つ見える。
妻が、木星と金星かしら。と言ったが、金星はともかくとして木星が肉眼では見えることはないだろう。
なんだか、トルコの景色みたい。と妻が言う。
どこがトルコなのかよくわからないのだが、トルコの旅行番組でこのような夜空を見たのかもしれない。
あるいはトルコの国旗がこんな感じなのかもしれない。
帰ったら調べてみよう。
そんな会話をしているうちにコンビニについた。
妻は外で待っている。
中で買い物をするのは僕ひとりだ。
いつの日か、一緒にコンビニに入ることができる日がくればいいなと思う。
帰り道、また二人で他愛もない会話をしながら歩いていると、流れ星が見えた。
今のは流れ星?。と妻が聞いてくる。
流れ星だったねと答える。
上を見ていると、たまにはいいこともある。

コメント

  1. ハッピーエンジェル より:

    とても言葉では表現する事は難しいですが
    奥様を心から愛している事が凄く伝わります。
    そして、文面での言葉一つ一つが
    美しいです。
    情景も浮かんできます。
    素敵なブログに出逢えました。
    心から感謝します。
    ありがとうございます。

  2. Takeman より:

    ハッピーエンジェルさん、こちらこそ、拙文を美しいと言ってくださってありがとうございます。

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