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- 『フラッシュポイント:バットマン』ブライアン・アザレロ(作)、スコット・シュナイダー(作)、ローウェル・フランシス(作)、トニー・ベダルド(作)、エドゥアルド・リッソ(絵)、ジーン・ハ(絵)、ヴィンセント・シフエント(絵)、アルディアン・シャフ(絵)
スーパーマンの次はバットマンの物語を選んでみよう。
『フラッシュポイント:バットマン』は短篇集なのでバットマン以外のヒーローも登場するのだが、こちらも前回の『スーパーマン:レッド・サン』と同様、IFの物語だ。
バットマンは子供の頃に両親を目の前で殺されたことから犯罪を憎むようになり、大人になってバットマンとして悪人と戦うようになったヒーローである。
ここでもし、バットマンの両親が殺されず、バットマン自身が子供の頃に殺されていたとしたらどうなっていたのだろうかという話がこの『フラッシュポイント:バットマン』だ。ちょっとまて、ここで誰もがこう思うだろう。バットマンが殺されているのにバットマンの物語が成立するのだろうか。しかし、こう考えてみて欲しい。両親を殺された息子がバットマンになるのであれば、息子を殺された父親がバットマンになってもおかしくはないのだと。つまり、この物語でバットマンになったのはブルース・ウェインではなく、本来の歴史でジョーカーによって殺されていたバットマンの父親、トーマス・ウェインなのである。そしてこの物語ではさらにそこにバットマンでは有名な悪役、ジョーカーの物語が混入され、その結末は驚愕というか、こういう設定にしたのであればこれ以外の解釈と結末は考えられないというところに物語が着地するのである。
この本に併録されているのはスーパーマンとアクアマンの物語の二編だ。日本ではアクアマンは殆ど知られていないので読んでもあまりおもしろくはないがスーパーマンのほうは赤ん坊だったスーパーマンを載せたカプセルがカンザス州の田舎ではなく、大都市メトロポリスに落ちたとしたらどうなっていただろうかというIFの物語。短編なのであっさりとしているが、大都市に落ちたせいで35000人もの犠牲者をだしてしまったスーパーマンがどのようになったのかという物語は陰惨な物語でしかない。
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