やがて消えていく言葉と、記憶


衣類を吊り下げておくための肩幅くらいの長さの、木あるいはプラスチックもしくは針金でできた整理用の道具を一般的にハンガーと呼ぶ。
妻はこれをハンガーと呼ぶので、普段は僕もハンガーで通しているがハンガーと言葉に出して呼ぶときに同時に、衣紋掛けという言葉が僕の頭の中に浮かび上がってくる。
ハンガーを衣紋掛けという人も少なくなってきたと思う。多分、平成生まれの人は使わないだろう。だから衣紋掛けという言葉もいずれ消えていく言葉かもしれない。
普段は使わないのに、頭の何処かで勝手にハンガーという言葉を衣紋掛けという言葉に翻訳しなおしているようでもある。あるいは衣紋掛けという言葉自身が忘れないでほしいと僕に語りかけているのかもしれない。
衣紋掛けという言葉を僕が知っているのは、祖母が使っていた言葉だったからだろう。いわゆるおばあちゃん子だった僕は祖母からいろいろなことを吸収して育っていった。
だからこの衣紋掛けという言葉は祖母の記憶とともにある。
やがていつかは、衣紋掛けという言葉も祖母の記憶も薄れていってしまうかもしれない。けれどもその日が来るまでは、祖母の記憶は僕の中で、衣紋掛けという言葉の一部に宿りつづけていくだろう。

コメント

  1. 優里きこ より:

    初めまして・・・
    やはり えもんじょ ですよね・・・
    でも 初めて 漢字で 見ました・・
    まだ その言葉は 日常的に なんの 迷いもなく使ってます・・若い 世代に 試して 見たくなりました・・・
    年なんですかね・・
     
    田舎は 放言がまだ 使えてます・・・
     でも それも やがて 消えていく・・と 思います・・

  2. Takeman より:

    優里きこさん、はじめまして。
    言葉は消えていくかもしれませんが、死ぬことはないので、使う人がいる限り滅ぶことはないと思います。
    新しい言葉は勢いと活気がありますが、古い言葉はそれがない分、落ち着きがありますね。
    僕はブログでは書き言葉を使うようにしているので、落ち着きのある言葉の方が使いやすいです。

  3. はじめまして!
    衣紋掛け、たまに使っていましたが(昭和生まれです笑)
    以前に若者からの???攻撃を受け(笑)、最近ではすっかり使わなくなりました。消えていく言葉の中には私の例のような理由によるものもあるかもしれませんね。
    職業柄か習慣や風習などのなかにも消えていくものを目にすることがあります。さびしい限りですね。
    とりとめのないコメント失礼いたしましたm(__)m

  4. Takeman より:

    てら婚プロデュースさん、コメントありがとうございます。
    会話の中で使うとなると、相手に通じない言葉は使わなくなりがちですよね。
    なので、会話では使わないけれども、ブログでは、必ず痔も意味が通じなくてもいいので、昔の趣きのある言葉は使っていこうと思っています。

  5. のの より:

    こんにちは。
    もしかして無意識に 衣紋掛けって言ってることがあるかもし知れません。なにしろ 昭和生まれですから(^○^)
    でも、おばあさんの思い出と共に生きているということに、あなたの優しさを感じ、ほのぼのとして とてもいい感じです(#^.^#)

  6. Takeman より:

    ののさん、こんにちは。
    やはり昭和生まれだと使いますよね。

  7. ロビン より:

    こんにちは
    昭和生まれとは関係ないと思います
    知っているか知らないか、使わないか使うかです
    着物をかける時はハンガーではないですもの。
    その人の中に使える言葉がどのらいあるかの違い、
    と私はいつも思っています。

  8. Takeman より:

    ロビンさんこんにちは。
    なかなか手厳しいご意見ですね。
    衣紋掛けは着物をかけるためのものなので、仰るとおりなのですが、着物ハンガーなる言葉もあったりして、いささか分が悪くなっている気もします。
    私は着物を着ないですし、子供もおりませんので、衣紋掛けという言葉は私にとってはいずれ消えゆく言葉なのですよ。

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