菜時記　長月/甲辰

統合失調症を発症していらい、人の大勢いる場所を恐れるようになった妻は、買い物に行くことも困難になった。
だから僕は妻の代わりに一週間分の食料品や日常品を買うために週末、一人で買い物に出かける。
精神障害を持つ人と共に生きるということは、僕の場合でいえば平穏と悲しみの間を行ったり来たりする生活である。楽しむということはとうの昔に捨て去った。
楽しもうという気持ちなど持たないほうが楽だからだ。
菜時記　長月/甲辰
レタスは相変わらずの高値で198円。サニーレタスも先週と同様で248円なので、レタス以外の選択肢がない。
キャベツは1/2カットで108円でピーマンに至っては148円と高騰気味。地元野菜コーナーのピーマンが140円だったのでこちらを買う。
かぼちゃが1/4カットで手頃なものがなかったので別の店で買うことにするが、今週は野菜に関していえばお買い得品が全く無いのでもやもや感が残ったままである。
妻が今まで鯛みそを食べたことがなかったことを初めて知ったので、ごはんのお供系の棚に行き桃屋の鯛みそ缶を買う。318円とそれほど安い値段ではなかったのだが、まあいいだおる。それにしても鯛みそは何故瓶詰めではなく缶に入っているのだろうか。
はんぺんや魚の身をすり身にした加工食品、いわゆる練り物を物色していて思うのは、3人家族が増えたことで4枚入りのものの他に3枚入りのものが少しずつ増えてきたということだ。これは3人家族の人にとってはありがたいことなのだが生憎と我が家は2人家族なので、この3枚入りというものが中途半端で困る。なので美味しそうなものを見つけても3枚入りだと諦めるしかないので、というのも3枚入りのものを買ってしまうと妻は僕に気を使って自分は一枚で僕に残りの二枚を食べさせようとするので心苦しいのだ。3枚入りと4枚入りと二種類選べるようになってくれるとありがたいのだが難しい問題だろうな。
かぼちゃが安いかもしれないけれどもそれ以外に買う予定のものがなかったので地元野菜の店にはよらずに、秋の果物で何か良い物がないかとJA直売店に寄り、早生みかんかマスカットかで悩むがマスカットを選ぶ。かぼちゃは150円だったがここでは買わずに最後の店に賭けることにする。
で、最後の店ではかぼちゃが141円で売られていたので賭けに勝ったと思ったのは一瞬のことでこの店は税抜き金額表示のため、税込み金額で考えると152円と2円高いので一気に気分が落ち込むが、先々週に買っておいしかった京風きしめんが安売りされていたので、なんとか気分を持ちこたえることができたと思ったものの、この店では桃屋の鯛みそが税込みで268円だったので負け気分になる。そういえば先週もこの店で桃屋のきざみにんにくを安いと言って買ったのを思い出した。そうかこの店では桃屋の商品は安いのだな。ひとつ勉強になったということでこの差額は勉強代ということにしておこう。