週刊 5巻以内で完結する傑作漫画99冊+α 18/99

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  1. 『神州纐纈城(上)』石川賢
  2. 『神州纐纈城(下)』石川賢
    前回の『少女・ネム』は未完の物語だったが、未完の漫画ではなく、未完の小説に手を加えて完結させてしまった漫画がある。作者の死によって未完になってしまった作品を別の作家が完結させた小説というのはそれほど珍しくはないが、この作品のように未完の小説を漫画で完結させたというのはかなり珍しいのではないだろうか。しかし、未完の帝王でもある石川賢が未完の原作を漫画化して完結させたという点では少し皮肉めいた部分もある。
    国枝史郎の『神州纐纈城』でありながらもいつもの石川賢の世界観が全開。原作を忠実に漫画化する気などさらさら無く、いうなれば原作に対してオレの方が数倍面白く描けるんだと言わんばかりの展開は、これはこれでもう一つの『神州纐纈城』であり、原作で物足りなかった部分がこちらで補完されている部分もあって読んでいて楽しい。
    纐纈城の謎やその他諸々の謎に対して石川賢が描いて見せた展開は石川賢の世界でもありながら、原作を先に読んだ身としてはそこまで話を広げるかと驚くばかりで、ここまで話を広げてくれたならば満足だと言いたい一方で、辻褄が合いすぎて逆に物足りなさを感じてしまうのは読者のわがままかもしれない。
    しかし、ラストシーンをしっかりと原作の終わりと対応させたのはお見事で、原作では未完となったラストシーンが石川賢版『神州纐纈城』では完結した物語のラストシーンとなっているのである。

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