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- 『斬り介とジョニー四百九十九人斬り』榎本俊二
榎本俊二の作品を選ぶとすれば『ゴールデンラッキー』か『えの素』のどちらかだと思う。どちらも完全版として全三巻なので冊数としても条件を満たしている……しかし、さすがにこれを面白いから読めと薦めるのも気が引けるし、人を選ぶ漫画だ。でも『えの素 トリビュート』という、寺田克也やメビウス、萩尾望都に、めったに漫画を描かない鶴田謙二までもが参加した本が作られるくらいに榎本俊二の作品は異彩を放っている。そんな榎本俊二の凄さを知ってもらうのに一番いいのが『斬り介とジョニー四百九十九人斬り』だろう。
悪党に連れ去られた村娘の奪還を依頼された斬り介とジョニーの二人の剣士が、タイトルに偽ることなくひたすら斬って斬って斬り殺す話だ。ストーリーなど殆ど無く、ただひたすら二人は目の前に現れた敵を斬る。そこにあるのは物語を追いかけることの快楽ではなくスピードとリズムに乗ってページを読み進めることの快楽なのだ。紙面に描かれたリズムを楽しむ漫画でもある。
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