一色まことの『ピアノの森』がとうとう完結した。
一巻が出たのが1999年の8月だったから、16年という歳月だ。
途中で休載となり3年ほどブランクが開いたり、掲載誌が変わって中断し、そしてまた連載が再開されることとなってもそれ以降、何度も中断したりして、僕は単行本派なので連載が中断していたということは気になはならなかったのだが、それでも完結するかどうかという不安は多少はあった。過去にも『出直しといで』が長期中断をしたことがあったりして、中断するのは当然のごとく覚悟しても再開するという保証はない。
前巻の25巻で、とうとうショパンコンクールの優勝者が発表され、それが主人公であるというところで25巻は終わっていた。
少年ジャンプあたりで連載していたとしたら、優勝はさせずにさらに次回のショパンコンクールに挑戦するという形で物語を引き延ばしていたかもしれないが、ショパンコンクールのエピソードだけでもかなりの量であり、ヘタな引き伸ばしをするくらいならば優勝させてしまったほうがいい。
問題はその後の展開である。新たなコンクールに挑戦するという展開もありうるのだが、どういう物語が描かれるのであろうかと期待をしていたら、完結したという情報を耳にした。
ショパンコンクール優勝の後でいったいどんな物語が描かれそしてどんなふうに物語は着地するのだろうか、ということを期待しつつ最終巻となる26巻が出る日を楽しみにしていた。
そして26巻がでた。
期待していた終わり方とは少し違ったのだが、こんな素敵な終わらせ方もあるのだなとすなおに感動した。物語に登場した殆ど全ての人が、何らかの形で幸せな生活を迎えることになった終わらせ方だったのである。殆どと書いたのはさすがに物語の終盤に今まで登場した人物、脇役に至るまで全員を登場させたわけではないという意味であって、終盤に再び登場した人物は全員幸せになっている。
主人公が持っているピアノの力の素晴らしさを描き続けてきた物語である以上、彼の演奏を聞いた人は幸せになるのは当然のことであるのだが。まさかこんな素晴らしい終わらせ方をするとは思わなかった。まるで奇跡のような魔法を見せられた気分でもある。
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