記事タイトルにひかれて初めてこのページをご覧になった方は、こちらを最初に御覧ください。
- 『うみべの女の子(1)』浅野いにお
- 『うみべの女の子(2)』浅野いにお
TAGROの『マフィアとルアー』がある年代のある時期だけ必用としながらも普遍性を持ち続けているのに対して、ほぼ同様にある世代のある時期に生きている人しか共感を得ないような作品を描いている浅野いにおの作品は、例えば十年後あたりにどういう受け止められ方をするのだろうか。
そんなふうに思ってしまうのは浅野いにおが描いているのが人だけではなく人を含めた街、登場人物たちが生活している世界を今の風景から切り取って描いているからかもしれない。
浅野いにおの作品であれば『ソラニン』全2巻でもよかったが『ソラニン』全2巻はちょっと綺麗すぎる気がする。もっともっと俗物的で本能的で若さのリビドーに振り回されるまま、自分自身もコントロールできないままに生きていくある世代を、表現規制などものともなしに描いた『うみべの女の子』のほうがもっと切実的で純粋で、そして美しいのだ。連載誌が性表現には規制の緩やかな雑誌だったからこそ描くことのできた作品だ。
まあ、そっちの方面を期待するだけの漫画ではないので、期待してがっかりされても困るのだが。
コメント