汚れても美しい

今はもう煙草を吸うことはやめてしまったが、昔はわりと吸っていた。当時の僕のことを知っている人は、わりとというレベルではなくてヘビースモーカーだったというが、そのあたりは当の本人にはあまり自覚はない。
その当時、家で使っていた灰皿は学生時代に長野の山間の土産物屋で買った、底面に犬の顔のイラストが描かれた白い陶器の灰皿だった。タバコをやめた今でも捨ててはいないので探せばどこかにあるだろう。
大きさと重さがちょうどいい代物だったので、ずっと愛用していた。
底面に描かれた犬のイラストも含めて理想的な灰皿だったのだが、唯一の欠点は灰皿として使っていない、きれいな状態だと美しいのだが、そこに煙草の灰や吸殻が入ってしまうと美しさがあせてしまうことだ。だからといって、他の灰皿を使ったり、煙草を吸うのを止めたりはしなかったのだが、その当時よく思ったのは灰皿として使われた後の状態で美しくなる灰皿というものを作ることが出来ないものだろうかということだった。
例えばジーンズであれば、新品よりも何回か洗って適度に色落ちした物のほうが美しく見える。使い古した物のほうが味わいが出るものがあるのであれば、灰皿だってそんなものが出来ないものだろうかと思っていた。
が、灰皿に入れられるものが基本的にゴミとして扱われる物である以上そういうものを作るのは無理なのだろう。
でも、深夜に煙草が吸いたくなって、でも煙草は切れている。そんな時、灰皿の中にあるシケモクの山はゴミの山ではなく宝の山に見えるのだ。

コメント

  1. ののの より:

    ベビーと言うよりチェーンだったね

  2. Takeman より:

    >チェーンだったね
    それは盲点でしたが、まったくその自覚はありませんでした。

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