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- 『はるまげ(1)』なにわ小吉
- 『はるまげ(2)』なにわ小吉
殊能将之という作家がいた。『はさみ男』というミステリ小説でメフィスト賞を受賞し作家デビューすることとなったのだが、住所や電話番号等、連絡を取ることのできる内容を書き忘れていために、編集部は雑誌上でこの作家に対して連絡がほしいと呼びかけることをした。
連絡先を書き忘れて応募してしまうということは可能性としては少なからずあるだろうけれども、書き忘れた作品が受賞するとなるとそんなことが起こる確率はかなり少ないだろう。なんでこんな話をしたのかというとこの漫画の作者、なにわ小吉も応募作に連絡先を書き忘れてしまっていたために、編集部が雑誌上で連絡を請う内容を載せたことがあったからだ。
そんなわけだからだろうか、殊能将之にしろ、なにわ小吉にしろ、その作品にはどこかひょうひょうとした、いわば世間ばなれしたものを感じさせる。
で、そんななにわ小吉の作品であればデビュー作であり一世を風靡した、かどうかわわからないけれども、『王様はロバ~はったり帝国の逆襲~』を選びたかったのだが、あいにくとこちらは七巻と巻数が多い。後にリミックス版とし四巻構成のものが出たのでそれでもよかったのだが、四巻構成のものはコンビニ販売専用のものなので入手が難しいので選ぶのをやめた。
『はるまげ』の舞台となるのは、とある原始時代的な文化しかもたない惑星。しかし、主人公は学生服に学生帽をかぶっていて、それでいて学校などというものは存在していなかったりするので、あまり細かいことは考えてはいけない。なにしろギャグ漫画なのだ。
むしろ、あえてもう少し設定について考えてみるとすれば、かつては高度に発達した文明を持った惑星だったけれども、何らかの事情によりその文明が滅び去ってしまった後の世界と考えたほうが辻褄は合いやすいかもしれない。
主人公の弟はありあわせの材料、主に木材とか布だが、それらでもって高度な何かを作り出す。製造過程はまるっきり違うのだが、創りだされるものはロボットだったり、デジカメだったり、全自動洗濯機、もっとも全自動洗濯機の場合は洗濯機という概念が存在しないので、ゴミとして捨てられるのだが、現代社会で普通に使われている道具が生み出され、主人たちはその道具に驚きながらも器用に使いこなす。独特な生態系を持つ惑星を舞台とした少し不思議でかなりシュールなSF漫画なのである。
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