最後に、没にしたエイプリルフールネタを披露しておく。
エイプリルフールの没ネタ その一
ブログを書くことが苦手な人のために人工知能が代わりにブログを書いてくれる人工知能カケル君というアイデアがあった。書くことができるからカケル君である。
マルコフ連鎖を利用して本当に記事を自動生成してブログに投稿することができるところまで勢いに任せて作り、カケル君デザインをどうしようか考えていたところで、ふと気がついた。
実際に機能してしまうものを作ってしまったのでは嘘ではなくなるじゃないか。
狼が来ていないのに狼が来たというから嘘つきであって、狼が来ているのに狼が来たというのは単なる正直である。
というわけで、人工知能カケル君はエイプリルフールのネタとしては没にした。
しかし後で知ったのだが、Googleは毎年、本当に機能として動くものをエイプリルフールのネタとして出しているそうだ。Googleがそういったことをやっているのであれば、実際に機能する馬鹿馬鹿しい機能もエイプリルフールのネタとして使っても構わないのかもしれない。
だからといって、人工知能カケル君を来年のエイプリルフールのネタとしてお披露目するかといえば、今の人工知能ブームも来年には終わっているだろうから、カケル君が日の目を見ることはないだろう。
エイプリルフールの没ネタ その二
カケル君と同様に人工知能ネタである。ただし、こちらは既存のコンピュータ上で動く人工知能ではなくハードウェアの設計から新たに設計しなおして教育して動く人工知能だ。
人工知能というのは基本的に人の思考を再現させるものである。だったら、人の脳をそのまま利用したほうが効率がいい。
ということで、iPS細胞を使ってヒトの脳を人口培養し、15年ほどかけてその脳に対して教育学習をさせる。
そこからできの良い脳をMRIで高密度スキャニングしてシナプスの形状データを取得し、今度はそのデータを元にタンパク質成型できる3Dプリンターで脳の複製を大量生産し、それを人工知能内蔵の生体コンピューターとして販売する。
というネタも考えたけれどもさすがにここまでぶっ飛んだアイデアを楽しめるのはごくわずかな人だけだろうから没にした。
人口培養した人の脳に対して人という概念が適用されるのか、あるいはその脳には意識というものは存在するのか、さらには倫理的な問題はどうなのかといった考察も含めて突き詰めていくという方法もあったのだが、そこまですると嘘としては重苦しい展開になってしまうので断念した。
エイプリルフールの没ネタ その三
ニュートリノと呼ばれる素粒子がある。この素粒子は質量がほぼゼロに近く、あらゆる物質を貫通する。
地球の地殻やマントル内に存在しているウランなどの放射性物質の核崩壊によってもこのニュートリノは発生するので、このニュートリノを利用すれば、室外であろうが室内であろうが、はたまた洞窟の中であろうが昼夜問わずにその人の位置を特定することのできる位置情報検知システムをつくり上げることができるというアイデアもあった。
かつて、半村良という作家がこういったことがある。
嘘というのは大部分を真実で構成して、ほんのちょっとだけ嘘を入れるのがよろしい
つまり、嘘を嘘で塗り固めていくよりも、小さな真実を積み重ねていくほうが嘘に説得力を持たせることができるということだ。
ということで、スマホでニュートリノの検知が可能になったという部分だけ嘘で、それ以外は現在の技術で実現可能な方法でその嘘を補強してみようと考えた。
ニュートリノによる位置検知での問題点の一つとしてニュートリノの発生源である地殻内の放射性物質の位置をどうやって特定するかという点がある。
これに関しては、キム・ロスモが発案した地理的プロファイリングの手法を利用して、観測したニュートリノの方向と位置から逆算的、統計的にニュートリノの発生源を求めるという方法を使うことが出来る。
そこまでいけば位置算出の計算式等は全て実際の位置検知のための計算式を使うことができるうえに、あらゆる物質を貫通して直進し、速度も光速であるという点から誤差はほぼゼロで位置検知が可能となる。
という部分まで考えたのだが、どう考えても真面目過ぎて面白いネタにはならないので没にした。
今回はたった一日の嘘のためにものすごい時間と労力をかけてしまったので、来年は嘘などつかずに清く正しく、正直に生きていこうと思っている。
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