ガイドブック

昔からガイドブックが好きだった、
もっとも、ここでいうガイドブックというのは旅行ではなく本のガイドブックのことだ。
最初に買ったのは石川喬司の『SF・ミステリおもろ大百科』(のちに『夢探偵 : SF&ミステリー百科』という題名で文庫化)で、これは長いこと僕のバイブルのようなものだった。
この本と出会ってしまったせいでSFとミステリが好きになったと言っても過言ではないと思うが、この本と出会わなかったとしてもいずれはSFとミステリは好きになったと思う。
なにしろ、ページを開けばそこには僕の知らない本がいっぱい書かれていて、そしてそのどれもが面白そうな、といってしまうとちょっと言い過ぎだけれども、少なくとも、読んでみたくなる本は沢山載っていた。
そのうち、『SF・ミステリおもろ大百科』に書かてている本をすべて読まないうちに、他のガイドブックにも手を出しはじめる。
その本にも知らない本がいっぱい書かれている。
いうなれば宝の地図である。
僕はガイドブックという名の宝の地図を元に、本を次々と読み始めた。
しかし、何事にも終わりは来る。
新しいガイドブックを手に入れてもワクワクしなくなってくる。まだ読んだことのない本の数がだんだんと少なくなってくるせいだ。
それでもガイドブックが出るたびに買っていて、早川書房から『海外SFハンドブック』と『海外ミステリ・ハンドブック』が出ると知って久しぶりにワクワクしたのだが、書店で手にとってみてそのワクワク感は徐々にしぼんでいってしまった。
そこには知らない世界がなかったのだ。
SFとミステリに関するガイドブックならはほぼ無条件に買っていたのだが、とうとう、買わなくなる日がくるとは思わなかった。知らない世界を知るためのガイドブックは、知っている世界には必要のないものなのだ。

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