菜時記 文月/丁酉

統合失調症を発症していらい、人の大勢いる場所を恐れるようになった妻は、買い物に行くことも困難になった。
だから僕は妻の代わりに一週間分の食料品や日常品を買うために週末、一人で買い物に出かける。
いつか妻と一緒に買物に出かけることができる日が来ることを夢見ているが、同時にそれは僕にとって贅沢な願いであることも理解している。
菜時記 文月/丁酉
朝から土砂降りである。どんなに頑張っても濡れるのは防ぎようもないので、濡れることを覚悟して買い物に出かける。
店の中に入ると外の土砂降りの音は消え去り、それまでの憂鬱な気分も消え去っていく。
とうもろこしが1本98円、しかも3本買うと198円という大判ぶるまいだったので、これは買うしかないと袋に詰める。舞茸が1パック98円と安めなのでかごに入れる。
サニーレタスが158円と安いので、普通のレタスのほうではなくこちらを買うことにする。キャベツは1/2カットで88円と安定した値段だ。
地元野菜のコーナーでは甘々娘が4本で400円という値段だったので、ちょっと迷うのだが、すでにとうもろこしは袋の中なので、戻しに行くのもためらわれるし、今回は諦めることにするが、かといって、先にこちらの方をチェックしたからといって3本で198円という値段の魅力は大きい。
胡瓜は4本で110円、茄子は4本で130円と安い。
ピーマンも安かったのだが、あいにくと今回はピーマンを買う必要がないので心残りだけれども見過ごすことにする。
麺類のコーナーに行くと、新商品の冷やしラーメンが98円だったので、あまりの安さに少し不安にもなるけれども騙されても構わない値段なのでかごに入れる。
レジで精算後に外に出ると、まだ土砂降りでいきなり現実に戻されてしまう。

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