レインマン 1巻

遅ればせながら星野之宣の『レインマン』を読んだ。
レインマンというと僕の場合、ダスティン・ホフマンとトム・クルーズ主演の映画『レインマン』を思い出すけれども、あれとは関係がない。
星野之宣といえば、<宗像教授>シリーズに代表される伝奇系と『2001夜物語』に代表されるSF系の二つを主に描く漫画家で、まあそれ以外のものもあるけれども、今回はどちらの系統なのかというと新境地に近い。宇宙が舞台でもなく未来の話でもなく、オカルト現象を扱っているので伝奇系に近いかもしれないが、オカルト現象を科学で解明するという、ちょっと手垢のついた題材を面白い形で扱っている。というのも主人公自身に出生の秘密というか身体的に驚くべき身体を持っていて、それが物語の縦糸となり、オカルト現象の解明のほうは横糸で、どちらかといえば縦糸の方が衝撃的なのだ。
主人公は母親の死を契機に、とある超心理学研究所で働き始める。そこで働いている最中に、自分とそっくりな人物とビルの屋上で出会うのだが、その人物は自分の名を名乗ったあと、飛び降り自殺を図ってしまう。いきなり自殺してしまうという展開も展開なのだが、その後、主人公がMRI検査を受けた結果、主人公には脳がないということが明らかになる。主人公の頭のなかには脳幹までしかなく、あとは水があるだけなのだ。
でも、主人公には意識があり、考えるということもできる。そしてもちろん生きている。はたして脳がなくても生きることが出来るのかそして、出来るとしたら意識は脳の中には存在していないということなのか……とそれだけでもお腹いっぱいになりそうな設定でありながら、横糸の部分、つまりオカルト現象を科学で解明する、といってもそこで登場する科学も感情ジェネレータとか、そっちのほうがオカルトなんじゃないかと思うくらいにぶっ飛んでいる科学を持ってきていて、ワクワクさせてくれる。
一巻の後半では人の脳に直接幻影を投射することのできるあやしげな霊媒師との対決で、主人公は脳がないのでこの霊媒師に対抗することができる人間だというところで終わっている。二巻が楽しみだ。

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