夢の中で、いま自分は夢を見ているのだと自覚をしたことがある人とはどのくらいいるのだろうか。
あいにくと僕はそういう夢を見たことがない。夢のなかではそれは僕にとって真実であり、たとえそれが現実にはありえないような出来事だったり現実には存在しないものが登場したりあるいは自分が子供の状態であったとしてもそのことに疑問を抱くことなく受け止めている。
自分が夢を見ているのだと気がつくような夢とはどんな夢なのか興味があるのだが、残念ながら夢の内容まで語られることはないし実際にそういう人に出会ったこともないので、知る機会がまったくない。
もうひとつ。
夢のなかで自分が死んでしまう夢を見たことがあるという人もいる。
いると断定できるのは、僕自身も過去に一回だけ自分が死ぬ夢をみたことがあるからだ。
僕は、数年に一回ぐらい、何かに追いかけられて逃げ続けるという夢をみる。追いかけてくるのはゴジラのような怪獣だったり、ガーゴイルのようなバケモノだったりして、人間に追いかけられることはない。
で、なにがどうしようとも、逃げきれないのだ。
ゴジラのような巨大な怪獣に追いかけられた時などは、近くの家の中に入って隠れてやり過ごそうとするのだが、入った家には屋根がなく、怪獣には丸見えだったりと、怪獣が登場するなどという非合理な状況でありながら、逃げきれないということに関しては見事に整合性を保った夢を見る。
話を戻そう。
僕が死ぬのはガーゴイルに追いかけられた夢をみたときのことだ。
なぜか、深夜の学校の中にいて、そしてガーゴイルに襲われている。何故襲われているのかなどといううことに関しては一切の説明もない。わかっているのは気がついたら深夜の学校にいて、そしてガーゴイルに追いかけられていて、追いつかれたら殺されてしまう。ということだけだ。
そしてとうとう、追いつめられ、ガーゴイルは目の前までやってくる。
と、その瞬間、僕はそこから少し離れたところにいて、○○(自分のこと)はガーゴイルに襲われて食べられてしまったんだ。と、別の人物の視点でその夢の続きをみるのである。もちろん別の視点のその人物も自分自身である。
つまり、死んでももう一人の自分がいて、その夢の続きを見続けるのだ。
なんだか卑怯な設定のようなのだが、これだったら自分が死ぬ夢をみても平気な気がする。というか決して死ぬわけではないので平気だ。
しかし、さすがに一回限りの禁じ手のような気もするし、そういう自覚が自分にもあるせいか、こういう夢は一度しか見ていない。
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