週刊 5巻以内で完結する傑作漫画99冊+α 65/99

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  1. 『オトノハコ』岩岡ヒサエ
    箱の中には何が入っているのだろうか。
    岩岡ヒサエの考える箱の中には音が詰まっていたのである。
    空っぽの箱の中には音が詰まっている。
    音の表現としての新味こそないけれども、岩岡ヒサエの描く等身の低い、かわいらしいキャラクターたちがいろいろと悩みながらも健気に、いや、健気というよりもけっこうしぶとく成長していく様を見るのは心地よい。
    この絵柄というのは岩岡ヒサエの強力な武器で、等身の低いキャラクターのおかげで小さな箱庭の世界を見ているような感覚を受けるし、かわいらしく描かれているから性格もきれいで、描かれる内容も純粋で爽やかなのかというとまったくそうではない。そこで描かれるのは現実と何ら変わりのない世界であり人物で、そんな世界がこの絵で持って描かれるからよりいっそう際立ってみえるのだ。
    『花ボーロ』という短篇集には『オトノハコ』の原型短編(前日譚)にあたる短編が収録されている。

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