オンリーワン

本を読んでいると、ああ、こういう文章をかくことができたのなら、と思うことがたまにある。
ようするに僕が理想とする文章なのだ。
そういうことがよくある、のではなく、たまにあるからまだ救いがあって、これがよくある、だったとしたら、自分の文章力のなさに絶望して本を読むことなど嫌いになっていたかもしれない。
松田青子の『スタッキング可能』を読んで、ここに自分の理想とする文章があるなあと感じた。
あまりにも理想的すぎるので、松田青子がこういう文章を書いてくれるのであれば、僕が自分のブログでこういう文章を書かなくっても、僕が書きたいことはすべて松田青子の小説にか書かれているからそちらの方を読んで欲しいと思ったくらいなのだが、いくら僕がそう思ったとしても世の中はその通りには動いてくれない。
これは自分に課せられた苦行の一つだと思い、今日もこうして拙い文章をブログに掲載するのである。
ひょっとしたら松田青子に書くことができるのだから、修練すればお前にもできるのではないかと思う人もいるかもしれない。しかし、松田青子の文章はSMAPが歌っているように、もともと特別なオンリーワンなのだ。そしてこれは松田青子のオンリーワンなのだから、僕のオンリーワンではないのは自明のことである。たぶん、僕のオンリーワンは違うものなのだろう。
なので、それはお前が努力しないせいであるから考えが間違っているという人がもしもいるのであれば、僕に言う前にSMAPに対してお前の唄は間違っていると言ってからにしてほしい。

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