僕が住んでいる市では市が定期的に家族のための統合失調症教室というものを開いている。
妻が統合失調症と診断されそして医療保護入院となった時、タイミングよくこの教室の募集が行われていたので、電話をかけ参加の申し込みを行なった。
開催される日がやって来て会場に行くと30名ほどの人がいて、それは僕と同じように統合失調症の人を抱えている家族たちだった。
子供が統合失調症、あるいは親が統合失調症というケースの人が大半で、配偶者が統合失調症という参加者は僕1人だったことは残念だったのだが、それでも有意義な時間ではあった。
一番印象に残った、というよりもこのさき心がけなければいけないと思ったのは、市の職員の人が一番最初に言った次の言葉だった。
ここではどんなことでも話してもらっても構いませんが、次のことだけは守ってください。
それは、他の人の治療に関して否定をしないということです。
百人いれば百通りの治療方法があって、仮にある人のその治療方法がうまくいっていなかったとしても、だからといって自分の行なっている治療方法がその人のためになるのかといえばそんなことはないということである。
さらにいえば、その人がその治療に行き着くまでに紆余曲折、いろいろな苦労の末に行き着いた治療方法だったとしたら、それを否定してしまうのは、その人のそこに行くまでの人生を否定することと同意義でもある。
だから自分のほうが正しいのだと思っていても闇雲に否定してはいけない。
世の中には自分が良いと思ったいることを広めようとしている人が多くいる。それはそれで構わないのだが、自分が広めようとしていることと相反する考えを否定することもセットにしている場合が少なからずある。
自分とは違うことをしている人を悪者にしなければ自分の正当性を維持的ない行為というのはあまり良くないのではないかと思う。
自分とは異なる考えを否定したりせずとも、自分の考えを広めることは出来るし、そのほうが対立を生まずにすむと思うのだが、そうすることができない人は自分とは異なる考えをこの世から排除したいのだろう。
結局、弱い物同士が助け合うのではなく、いがみあってしまうのである。
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