菜時記　神無月/辛酉

統合失調症を発症していらい、人の大勢いる場所を恐れるようになった妻は、買い物に行くことも困難になった。
だから僕は妻の代わりに一週間分の食料品や日常品を買うために週末、一人で買い物に出かける。
いつになったら私は解放されるの？
と妻は僕に尋ねる。
妄想に取り込まれている以上、開放されることなど永遠にやっては来ないし、妄想を否定する形となる答えは妻には届かない。
これは答えを僕は知っていながらも答えてあげることの出来ない妻からの問いだ。
菜時記　神無月/辛酉
今週は、歯の治療と妻の通院といろいろと予定が詰まっていて忙しく、買い物もいつもより早めに済ませなければいけない。
ということで開店早々に行くこととなったのだが、先月と同様、品物がまだ出揃っていない。
バナナが128円といつもより安いものがあったのでかごに入れる。
レタスは198円と高め。グリーンカールも同じ値段だったので、レタスのほうを選ぶ。
長ネギは2本で178円、まあ妥当な値段である。キャベツは１個売りのものしかなかったのでとりあえず見送る。
ブロッコリーが213円、ぶなしめじは2個パックで136円。ぶなしめじは少し前までは98円と安かったのだが値上がりしたようだ。
ピーマンは5個で105円。いまのところ妥当な値段である。
一通り買い終えて、もう一度野菜コーナーへ行くとキャベツ1/2カットが置かれていた。78円である。
レジで精算をすると、予想以上の金額になって驚く。先週はかなり抑え気味だったので、先週と比較するのは間違いなのだが、かといって無駄に買い物をしすぎたというわけでもなく、一点一点を見れば今回買わなければいけないものばかりで、驚くほどのものではなかったのだと納得させる。
続いて次の店で足りなかったものを買い求めて総計を見てみればいつもとそれほど変わらない金額となったので、安心する。