週刊 5巻以内で完結する傑作漫画99冊+α 79/99

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  1. 『我が名は狼(1)』たがみよしひさ
  2. 『我が名は狼(2)』たがみよしひさ
    たがみよしひさといえば、『軽井沢シンドローム』かたがみよしひさのミステリ好きな部分が全面に出た『NERVOUS BREAKDOWN』が有名。残念なことにどちらも5巻以上なので、5巻以内で完結する作品を選ぶとするとこの作品か『滅日』全2巻になるだろう。『PEPPER』も捨てがたいけれども、『滅日』にしろ『PEPPER』にしろ、たがみよしひさのシリアスな部分しか現れていない。
    そこへいくと、『我が名は狼』の場合、場面の切り替えにセリフを重ねあわせる、たがみ節こそないが、コミカルな場面では3頭身、シリアスな場面では8頭身で描かれる作風はすでに完成された物となっている。
    長野県にあるペンションたかなしに、オーナーの親友の息子、犬神内記が訪れるところから物語は始まる。基本的に一話完結の物語で、毎回毎回、ペンションたかなしに宿泊しにきた女性が主人公と関わることによって物語が展開していく。しかし、犬神内記は一応の主人公でありながら、本当の主人公はペンションたかなしに訪れた宿泊客の女性の方なのだ。どの女性もなんらかの悩みを抱えており、犬神内記と関わりあうことによって少しだけ救われる。そしてそれぞれの物語も、幽霊奇譚風だったり、スキー場に現れる雪女の謎の物語だったり、殺人事件の謎を解く話だったりと、女性の悲哀を中心とした愛憎劇でありながらその味付けは多種多彩だ。
    描かれた時代が時代だけに古臭く感じる部分もあるかもしれないが、読み進めていくうちにたがみよしひさの世界にどっぷりと浸かる心地よさを感じるはず。
    オリジナルは全3巻だが後に2冊にまとめられた文庫がでている。

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