僕は基本的に賭け事はしない、というのは前回書いたことなのだけれども、ひとつだけ賭けをしていることがある。
それを始めたのは高校生くらいのことだったと思う。
ふと、ある日気がついたのだ。何に気がついたのかというと、生まれてこの方、記憶にある範囲内において柿というものを食べたことがないということだ。干し柿すらも食べた記憶がない。
で、高校生の頃というのは馬鹿なことを考える、もちろん今でも馬鹿なことを考えるのは好きなので、高校生であるということを言い訳にするのはおかしいのだけれども、それはさておき、今まで食べたことのないものだったら、死ぬ間際まで食べずにおいておこうではないかと考えたのである。
で、死ぬ間際に柿を食べてみるのだ。
その時、自分はどう思うのだろうか。
死ぬ間際に、こんな美味しいものを食べる頃ができて幸せだと思うか、それとも、こんなに美味しい物を今まで食べずに生きてきて、自分はなんて馬鹿な人間なのだと思うか。あるいは逆に、死ぬ間際にこんなまずいものを食べて、がっかりだと思うか、今までこんなまずいものを食べずに生きてやっぱり自分は正しかったと思うか。
もちろん、死ぬ間際に食べることが出来ずに死んでしまう可能性ももちろんある。
その時に自分がどう思うのか、ということを自分の人生を賭けて試してみたくなった。
こういうことを人に話すと半分くらいは鼻で笑われ、残りの半分くらいは食わず嫌いをごまかしているだけではないかといわれる。なのでこれを読んだあなたにも鼻で笑われているかもしれないが、まあいいではないか。賭けの代償としているのは僕の人生であって他人の人生ではない。骨の髄まで自分の人生を楽しもうとしているだけでもある。
というわけで未だに賭けは続いている。
かきとかけ

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