『不死の猟犬』が面白い。
死なない世界が舞台のアクション漫画というのは間違っていない説明だけれども、この漫画の特異な部分はそこではない。
死なないからといって不死身なのかというと、必ずしもそうではなく、撃たれれば死ぬし、高いところから落ちれば死ぬ。ただ、その直後に生き返るのである。
年齢はリセットされるわけではないので、不老不死というわけではないが、例えばこの世界に於ける風邪の治し方は自殺だったりする。死ぬことで風邪は治った状態で生き返る。病気になっても、死ねばその病気がなかったことになるというのは、にわかには受け入れがたい現象なのだが、この世界ではそれが当たり前の世界なのだ。
そのなかで、死ぬ病気が発生する。
それは愛するということで伝播する感染症として捉えられており、その感染症の保菌者は見つかりしだい隔離される。
その一方でその保菌者を公的機関の手から逃す、逃し屋と呼ばれる人たちがいて、この物語は警察と逃し屋との戦いの物語なのだが、4巻目にしても逃し屋の目的はまだ見えてこない。それどころか、保菌者は別の世界からやって来た存在で、その別の世界では人は普通に死に、よみがえることなどないという当たり前の世界であることが示唆される。
手足がちぎれ飛ぶような派手でグロテスクな戦闘場面が多いのだが、戦いによって人が死ぬということはなく、それ以外の場面で人が死ぬという変わった漫画でもある。
4巻目ではそれまで主人公格だった逃し屋たちが全員捕まって絶対零度に凍らせられて、物語の舞台から退場させられてしまうという予想もしない展開となった。それでも物語は突き進むというなかなか凄まじい状態で、おそらくは世界の成り立ちについていろいろと判明していくのだろう。
コメント