今月の気になる本

『たった、それだけ』宮下奈都 双葉社
『人形 デュ・モーリア傑作集』ダフネ・デュ・モーリア 東京創元社
『騙し絵』犬飼六岐 祥伝社
『火星の白蛇伝説 星界伝奇』川又千秋 中公文庫
『ナウ・ローディング』詠坂雄二 光文社
『小林信彦 萩本欽一 ふたりの笑タイム 名喜劇人たちの横顔・素顔・舞台裏』小林信彦、萩本欽一 集英社
『破壊された男』アルフレッド・ベスター 伊藤典夫 早川書房
『動物農場〔新訳版〕』ジョージ・オーウェル 山形浩生 早川書房
『すばらしい新世界〔新訳版〕』オルダス・ハクスリー 大森 望 早川書房
『エコープラクシア 反響動作 上下』ピーター・ワッツ 東京創元社
『J・G・バラード短編全集2 歌う彫刻』J・G・バラード 東京創元社
『地球に落ちて来た男』ウォルター・テヴィス 二見書房
『ミステリ読者のための連城三紀彦全作品ガイド』浅木原忍 論創社
『キオスクのキリオ』東 直子 ちくま文庫
あけましておめでとうございます。
来月は気になる本はそれなりに出るけれども、全部買うかどうかといえばそうでもなく、一年の始まりはスロースタートになりそうな感じでもある。
犬飼六岐の『騙し絵』は江戸時代の長屋を舞台とした人情物語でありながら、差別を扱った話。長屋=人情という一般的な概念を覆してくれる。
紹介文が、「謎と危険に満ちた冒険譚。レトロ感溢れる伝奇SF」という、中公文庫から出る川又千秋の『火星の白蛇伝説 星界伝奇』が気になる。伝奇SFなのだからレトロだろうという突っ込みをしたくもなるけれども。あまり長くならず一巻で完結してくれているとうれしい。
詠坂雄二の『ナウ・ローディング』は『インサート・コイン(ズ)』につならるゲームを題材としたミステリ。
喜劇に造形の深い小林信彦が萩本欽一と往年の喜劇人について対談する『小林信彦 萩本欽一 ふたりの笑タイム 名喜劇人たちの横顔・素顔・舞台裏』が文庫化。
アルフレッド・ベスターの『破壊された男』は伊藤典夫訳のもの。僕が読んだのは東京創元社から出ていた『分解された男』の方で、もう30年以上も前のことなので、伊藤典夫訳で再読するのも良いかもしれない。
ピーター・ワッツの『エコープラクシア 反響動作』は『ブラインドサイト』の続編。
まさか『ブラインドサイト』の続編が出るとは思わなかったのだが、どんな話になるのだろうかというよりもどんな世界を垣間見せてくれるのだろうか。
かつて扶桑社から出たウォルター・テヴィスの『地球に落ちて来た男』が復刊。デビッド・ボウイが亡くなったことで復刊に結びついたようだが、こういう形で復刊するのもデビッド・ボウイの影響力の大きさなんだろう。
続いて漫画。
『LIMBO THE KING(1)』田中相 KCxITAN
『さよなら私のクラマー(2)』新川直司 月刊マガジンKC
『双亡亭壊すべし(3)』藤田和日郎 少年サンデーコミックス
『ゴールデンゴールド(2)』堀尾省太 モーニングKC
『とんがり帽子のアトリエ(1)』白浜鴎 モーニングKC
『幸せのマチ』岩岡ヒサエ Nemuki+コミックス
『白暮のクロニクル(10)』ゆうきまさみ ビッグ コミックス
『いちまつ捕物帳(6)』細野不二彦 ビッグ コミックス
『でぃす×こみ(2)』ゆうきまさみ ビッグ コミックス
『ヘルボーイ:地獄の花嫁』マイク・ミニョーラ
田中相の新作『LIMBO THE KING(1)』が出る。記憶を食い荒らす奇病と立ち向かう二人の男ということで今度はSFのようだ。前作の『その娘、武蔵』が長く続くかと思いきや3巻で終わってしまい、面白くなりそうな設定を盛り込みながらも、詰め込みすぎたのか内容的にも消化不良気味な部分もあって残念だっただけに今回はちょっと期待が大きい。
寡作の人というイメージの強い、堀尾省太の『ゴールデンゴールド』も2巻が順調に出る。
細野不二彦の『いちまつ捕物帳(6)』は、今月5巻が出るのに来月6巻ということで、ひょっとして連載が終了したのだろうか。
終わるといえばマイク・ミニョーラの<ヘルボーイ>シリーズもとうとう完結。といっても第一シリーズの完結となっているので、『破滅の種子』から始まった一連の物語が終わるだけだ。しかし、まさか<ヘルボーイ>シリーズがここまで続いてしかも翻訳され続けるとは思いもしなかった。

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