こんな記事があった精神科患者の家族による秘密投与の切なさと後ろめたさ
病気でありながらも薬を飲もうとしない家族に対して、食事や飲み物にこっそりと薬を混ぜて飲ませるという行為を医療関係者の間では秘密投与と呼んでいる場合があるということは知らなかった。
統合失調症という病気の場合、まず当事者が自分自身が病気であるということを理解しようとはしない。
自分自身がおかしいのではなく自分以外の人間がおかしいと考える。例えば、自分のことを非難する声が聞こえたとする。そうした場合、誰だってまず最初はその声が幻聴ではなく本当に誰かが自分のことを非難していると考えるだろう。そもそも自分を非難する声で苦しんでいる状態で自分の方がおかしいと考えるのは難しいだろうと思う。
だから治療に結びつけることが難しいし、薬を飲ませることも困難だ。誰だって病気でもないのにわけのわからない薬を飲みたくはない。
だから、どうしようもなくなった場合、こっそりと飲ませるという方法を取らざるをえなくなる。しかし、それは諸刃の剣で、ばれたときには信頼関係が一気に失われてしまう可能性が大きい。
僕も一度だけ妻に対してこの秘密投与を行なったことがある。
やむを得ないとはいえ罪悪感でいたたまれなくなった。
僕は妻が統合失調症と診断されてから、妻に嘘をついてきた。
たった一回きりの秘密投与もそうだ。
妻を医療保護入院させた時もそうだ。妻には普通の診断と言っておきながらも、事前に病院と連絡を取り合い、入院の準備まで済ませていた。
この先、やむを得ずつかなければいけない嘘は少しずつ増えていくだろう。
それは、嘘をついてごめんと謝ることのできない嘘で、謝ることのできない嘘をつくというのは切なく、そして苦しい。
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