川三番地の『あしたのジョーに憧れて』が面白い。
ちばてつやのアシスタントをしたことのある漫画家、川三番地がアシスタント時代のことを振り返った話なのだが、ちばてつやの語られることのなかったエピソードを語るという側面だけでなく、漫画の技術的な解説という部分が前面にでた、いわゆる漫画の描き方的な作品にもなっている点が面白い。
そういう点では漫画の技術的なことに興味のない人にはこの漫画の面白さは半減してしまうかもしれないが、かくいう僕自身も別に漫画家になろうとしたことなどなく、今も漫画を描こうという気持ちすらまったくない。でも、ここで描かれているのは物を作ろうとする人たちの努力の足あとで、物を作るということが好きな人ならば面白さは判ってもらえるだろう。
僕はちばてつやの作品をまともに読んだことがなく、少年マガジンを毎週買っていた時に連載されていた『あした天気になあれ』をマガジンを買っていた時期だけ読んでいたぐらいである。なので『あしたのジョー』もアニメ版は見ていたが漫画の方は読んでいない。そもそも僕はSF系の作品が好きだったので、そういう系統の作品を書くことのないちばてつやの場合は読む接点が殆どなかったというのが読まなかったリ一番の理由だ。
そういうわけなので、漫画家としてのちばてつやの凄さというのはあまり知らなかったわけだが、この漫画を読んで、あらためてちばてつやの凄さというものがよくわかった。
パースの取り方からして、通常の視点とは異なる視点の位置から見たパースの取り方をしているという部分など、コミックを買って調べてみたくなる話だ。
中でも、なるほどと思ったのは背景の建物などの描写に定規を使わないという点で、フリーハンドで書くことによってあたたかみを出そうとしているということだった。
これは僕もデザインをする上で時々考えることで、今回のブログのテンプレートをデザインする際にも少しアナログらしさを出そうとしてみた。
まず、左上のブログタイトルに関していえば不規則にブレた動きをさせている。不規則といっても完全ではなく一定間隔で同じブレ方をしているが、あまり自己主張させるものでもないのでこの程度にしてある。
左側に並んだメニューも黒い枠から少しずれた形で背景となる黒い四角を配置して、その配置も交互にずれた形で不規則さをだしている。もっと不規則にさせることもできるがあまり不規則過ぎると使いづらくなるのでこの程度におさえてある。
記事が書かれている領域の枠も直線ではなく微妙に曲線も交えて手書きで書いた枠のように見せている。
実際にこれがどの程度効果を見せているのかはわからないけれども、デジタルっぽさではなくアナログっぽさを少しだけ出すようにしてみたかった。
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