ロデリック

アイザック・アシモフ以降の三大ロボット長編小説の一つと言われてきたジョン・スラデックの『ロデリック』が翻訳された。過去に瀬名秀明が編んだアンソロジー『ロボット・オペラ』に一部分だけ翻訳収録されたという経緯もあるが、『ロデリック』は二部作で、今回翻訳されたのは最初の方だけだ。後半部分となる『Roderick at Random』が翻訳されるかどうかは売れ行き次第ということで、翻訳される可能性は低い気もする。
奇想コレクションの『蒸気駆動の少年』を読んだ時にもそうだったが、僕はあまりスラデックのSFとは相性が合わないようだ。
『ロデリック』も読んでみて、面白いことは面白いのだが、会話主体で、地の文があまりなく、というよりも、地の文での説明というのはまったくなく、会話の内容から何が起こっているのか読み取っていくしなかいという形式は、短編レベルの分量ならばまだしも長編で全編こんな感じでやられると息切れがしてくる。なので、じっくりと腰を据えて読むのがいいけれども、しかし文中の会話は軽妙で重さを感じさせることがなく、スラスラと読めてしまうという部分が逆にネックとなってしまう。
とはいえども、第二部に入ってロデリックがようやく登場してくると、ロデリック自身の健気さとロデリックに関わる人間の対比の部分が面白く、学校でいじめられたり、そのいじめっこの首謀者はロデリックと二人っきりになると親切だったり、血とオイルでもって義兄弟の盃をかわしたりとこれでもかと言わんばかりにいろいろな要素が詰め込んである。
しかし、本当の冒険は後半部分となる『Roderick at Random』であるというところが非常に残念だ。

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