1巻のときに、物語はまだなにも起こらないというようなことを書いた。2巻でもなにも起こらないまま淡々と話が進む。
もちろんいろいろな事件や出来事は起こる。
例えば、主人公と少年がプールに行く話がある。そこで主人公はどんな水着をきれば良いのか悩む。主人公は少年の付き添い的な存在でしかなく、付き添いだからといって親でも親戚でもない。かといって友だちなのかといえばこんなにも年の離れた二人が友だちであるというのは二人だけの間であれば通用しても他人には通用しない。
少年が主人公の部屋で勉強を教えてもらう話がある。勉強を教えてもらい、そして少年は家へと帰るのだが、夜になって、弟が友達の家へ遊びに行ったっきり帰ってこないと主人公の元へやってくる。主人公は少年の家へと向かい、そしてそこで少年の母親が亡くなっていることを知る。弟は見つからない。しかし、主人公は親でも親戚でもなく赤の他人だ。
どこまで介入すればいいのか、どこにそれ以上立ち入ってはいけない境界線があるのか悩む。
そして2巻のラストで物語が大きく動く。
少年が主人公に対する感情を発露するのだ。
そう、物語が動いていなかったのは主人公と少年が共に相手に対する自分の感情を見せない、そして現してこなかったためで、気持ちを現すということは物語を動かす大きな原動力なのだ。
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