ヴォイニッチホテル

太平洋南西に浮かぶとある島のホテルが舞台の漫画。
全三巻の長編漫画だが短いエピソードの連続で一つの話が8ページ程度なのだが、そこに詰め込まれた物語の密度が尋常では無いほど濃い。
ホテルのオーナーは登場するたびに異なる覆面をかぶっていて、それがなぜそんな覆面をかぶっているのか判明するのは一巻の中盤過ぎ。もちろんそれが物語に重要な役割を担っているのかといえばそんなことは全く無い。登場人物全員が何かしらのいわくつきの人物ばかりで、例えばホモの殺し屋が登場するのだが、かれがホモでなければいけないの理由というのはほとんど存在しないかのように思えるのだがこれもまた物語が進んでいくとホモでなければいけないエピソードが登場して、思わず納得させられる。いうなれば全編なにかしらの伏線が貼られていてその伏線は物語が進んていくとしっかりと回収されていく。それは主人公格の登場人物だけではなく脇役に至るまでであり、その人物を登場させた時点で数手先以上の先の展開も考慮したうえでの登場であって、非常によく出来た詰将棋の回答を読んでいるかのようでもある。かといって全ての謎が最後に解き明かされるわけでもなく、暗示程度で終わってしまうものもあるのだが、全てを明確にしてしまうよりはこの方がいい場合もある。3巻で終わらずにもう少しこの物語を楽しみたかったという気持ちもあるのだが、下手に引き伸ばしをしてとりとめもなくなってしまうよりは潔い。

コメント

タイトルとURLをコピーしました