菜時記 卯月/庚午

統合失調症を発症していらい、人の大勢いる場所を恐れるようになった妻は、買い物に行くことも困難になった。
だから僕は妻の代わりに一週間分の食料品や日常品を買うために週末、一人で買い物に出かける。
今の状況から劇的に改善されるということなど望むべくもない。妄想は根強く残ったままであり、おそらくは消えることなどなく、歳をとればその妄想は強化されていくことだろう。
妄想を信じることは妻にとっては、自分と世界とをつなぎとめる唯一の手段でもあるのかもしれない。
だから僕は妻の妄想を受け入れるということをするしかないのだろう。
菜時記 卯月/庚午
朝から雨が降っている。
それでも店の駐車場はそれほど混んでもなく、雨にぬれずに済む場所に車を止めることができたのだが、あいにくと、雨はそれほどひどく降ってはいないのに風があるせいか横殴りに近い雨なので、思ったよりも濡れてしまう。
先週は買わなかった長ネギは2本で214円と相変わらず高い。買おうか悩んだが次に店で買うことにする。
白菜も1/4カットで158円。これも次の店で買おうか悩んだが、思い切って買ってしまうことにする。
カボチャは1/4カットで132円とそれほど安くはないのだが、買うことにする。
玉ねぎは安いのだが今回は買う必要がなく、ジャガイモは悩んだ末に少し高いが新ジャガを買うことにする。
地元野菜コーナーではほうれん草とブロッコリーが安く、ともに120円。
他にもなにか珍しいものがあったら買おうと思ったのだがなかったので野菜に関してはこのくらいにしておく。
魚介類コーナーではミニホタテが売られていて、買おうか悩むのだが、今回はあきらめる。
レジで精算して次に店へと向かう。
相変わらず雨は降り続いているのだが、次の店では駐車場が車で満杯で、満杯どころか道端に駐車場待ちの車が数珠つなぎである。仕方がないので少し離れた駐車場に車を止め歩いて店へと向かう。
どうやら十周年祭だったらしい。おまけにこの天気である。
イチゴの章姫が1パック198円で売られているのでかごに入れる。長ネギは読み通り、こちらの店のほうが安く、白菜もこちらの店のほうが少し高い。今日は読みが当たった。
で、問題はレジでの精算である。
店の端から端まで届くかのような精算待ちの人の列だ。どこに付こうが変わりはなさそうなので、ひたすら待ち続ける。
面白いことに周りのお客さんのかごの中には店頭で売られていたイチゴが必ずと言っていいほど入っている。なんだかみんなイチゴ目当てに来た感じだ。

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