鬱ごはん

この世にグルメ漫画とよばれる漫画は数えきれないほどある。
自分で料理をする漫画から、食べるだけの漫画、なかには食べずに頭のなかで想像するだけという漫画もある。
食材もバラエティ豊かで、古今東西ありとあらゆる食べ物がグルメ漫画の中で描かれてきた。中には架空の生き物さえ調理して食べてしまう漫画もある。
しかし、唯一共通しているのは、食べることの楽しさと登場する料理の美味しさだ。
そんな中、先に上げたグルメ漫画とは正反対に位置する漫画がこの『鬱ごはん』である。
はたしてこのマンガをグルメ漫画というジャンルの中に含めてしまってもいいのだろうかという気持ちもするのだが、食に対する探究心、限られた予算の中で美味しいものを食べようとする向上心らしきものはわずかに存在する。少なくともまずい食べ物は登場しない。
それでいて読んでいると、とことん重苦しい気持ちになる。その点でタイトルに偽りなしである。グルメ漫画の極北、あるいはアンチグルメ漫画といったほうが良いのかもしれない。
食べることからポジティブな要素を削ぎ落とすと、こんなにも食べることがつまらなく、ただ生存のためだけにある行為でしかないとまで感じさせるのだが、それはあくまで漫画の中だけで、読み終えてなにか美味しい物が食べたくなる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました