物語の世界にはバディ物とよばれるジャンルがある。
僕の好きなジャンルの物語の一つだ。
対象的な主人公二人がコンビを組んで難題に挑むという形式の物語のことを指す。
最初のうちはお互いに性格が合わず、いがみあったり、喧嘩したりするのだが、物語が進むにつれて次第にお互いのことを認め合っていくという展開になる。
僕が何故このジャンルの物語が好きなのかといえば、お互いのことを毛嫌いしていたとしても、必ず認め合うという結果に至る物語だからだ。もちろん全てを認めるわけではない。嫌いな部分は嫌いなままだ。しかし、それでも良い部分は認める。
そこには差別という意識はなくなる。
さて、本題に入ろう。
時は1944年5月。
場所はドイツのベルリン。
主人公は元刑事のユダヤ人。
ドイツの敗戦は色濃くなってきているが、ユダヤ人の主人公にとっては安全な時代、安全な場所ではない。
奥さんがアーリア人だったために特例として収容所送りにはされることはなかったのだが、街を歩けばユダヤ人差別はあり、特例によって普通の生活を営むことが許されていても、その特例は明日にはなくなっているかもしれない。そして連合国による空襲もひどくなりつつあり、爆撃で死ぬ可能性も高い。
そんなある日、主人公は親衛隊から連続殺人事件の捜査を依頼される。
引き受けたとしても命の保証はない。少なくとも、事件の捜査が終わるまでは身の安全は保証されるだろうけれども、そもそも、秘密裏に依頼された事件である。事件が解決した時点で、口封じをされる可能性は高い。
しかし、引き受けなければ死が待っている。
そして主人公は、親衛隊将校と共に事件の捜査に乗り出す。
連続殺人の謎よりも、この二人のコンビの複雑な感情のやり取りが面白い。
コメント