統合失調症を発症していらい、人の大勢いる場所を恐れるようになった妻は、買い物に行くことも困難になった。
だから僕は妻の代わりに一週間分の食料品や日常品を買うために週末、一人で買い物に出かける。
妻はときおりこんなことを言う。
「私のような人間と結婚してあなたはハズレを引いてしまったわね」
そんなことはないよ、と答えるのだが、この言葉が妻に届いているのかどうなのかはわからない。
ただ、届いていなくても、この言葉が僕の本心であることに変わりはない。
菜時記 皐月/乙巳
朝から雨が降っている。土砂降りである。
店頭ではミョウガが2個で105円。ポップにはお買い得品と書かれているのだが、この値段ならば3個は入っていないとお買い得とは言えないよなあと思いつつも、なんとなく手に取っているうちにかごに入れてしまう。ほかのお客さんが、これは安いわねえという言葉に引きずられてしまった。しかしよくよく考えてみると2個で105円なら安いよなあ。
エクアドル産のバナナが安売りしていて店員さんがバナナの試食を行っていた。4本で170円なので確かに安い。まだ青みの残っているものがあったので、それをカゴに入れる。
のだが、その後ろでは105円のバナナが売られていた。早まってしまったと思ったが、105円のバナナは小さいし、熟しすぎているので、結果としては問題ない。
キャベツは小ぶりだが1/2カットで95円なので、これも悩まずにかごに入れる。
そら豆も安く、300円以内のもので手ごろなものを選ぶ。
ジャガイモは小さなものばかりが入っているが、1kgで214円のものを買うことにする。本当は小さなものではなく、個数は少ないが一個あたりの大きさが大きいもののほうがいいのだが、なんだか今日はそのあたりの判断がうまく働かない。
しかしながらレジで精算すると、そんなに悪くはない値段だったので、安心して次の店へと向かう。
次の店ではトマトが4個で214円。長ネギは一本当たりの太さが細いとはいえ4本で170円とお買い得である。
この店でもだいぶたくさん買い込んだのだが、精算してみるとそんなに使っておらず、結果としては悪くはない買い物であった。
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