あえていうならばものすごくあざとすぎる展開だ。
もちろん良い意味でである。
前巻の終わりで三女の妊娠のほのめかしがあったことからこの巻ではどういう物語が進んでいくのかは予想はついたのだが、それでも、三女である。
それまで狂言回し的な、いわばシリアスな展開におけるお笑い担当でありシリアスな物語における緩衝材的な位置づけに過ぎなかったと思っていた三女が、いきなり物語の主役に躍り出るのだ。
まさかこんなカードを切ってくるとは思いもよらなかったのである。
そんなわけで今回の三女をめぐる物語の破壊力はとてつもなく、それに引きずられて、三女の恋人であるアフロ店長にも焦点はあたり、一気にそれまで空白だった場所が埋め尽くされ、四姉妹の物語が強化される。
前巻からいきなり四姉妹の恋愛の部分が急展開したことすらも、今回のことがあってのことだと思えば納得もできるし、それにしてもアフロ店長の「自分の弱さを取り戻す」という言葉は素晴らしい。
その一方で、四女は掛川へ行ってしまうし、三女も鎌倉の家をいずれ出ていくことになるだろうし、と四姉妹が離れてそれぞれの人生を生きて行く兆しを見せ始め、次の巻も気になるのである。
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