文具コーナーでいつものごとく文房具を見る。
今回、ふと目に止まったのは画鋲だ。
小学生の頃に学校でよく使っていたオーソドックスな金属の平べったい、そしておもいっきり壁に突き刺すと今度は画鋲抜きでも使わない限り抜くことが難しい、あの画鋲である。
新品だったということを抜きにしても、やけに金色に輝いている。使っているうちにくすんできて終いには錆が浮き出てしまうあの画鋲とは思えないほどの輝きで、それはおそらく照明が輝いている店で売られているというせいも多分にあるのだろう。だからこの輝きに騙されて、買って、そして家で取り出してみると、店の照明ほど明るくない我が家の照明の下ではここまでの輝きは見せてはくれないと思う。
そんなことを考えていると、その画鋲の入ったケースに貼られたラベルに書かれた言葉に目がいった。
二重画鋲
一見するとどこも二重にはなっていない画鋲である。
小学生の頃から使っていた画鋲に二重画鋲という製品名がついていたことに、この世に生まれて半世紀近く生きてようやく気がついた。
調べてみると、昔は薄い金属を二枚貼りあわせてつまみの部分としていたのが、技術の進歩によって一枚の金属で作ることができるようになり、それでいて製品名が二重画鋲だったせいで、わざわざ二重に見せるように円周の部分にすじを入れて売るようにしたということだった。ということでよくよく見てみると、たしかにツマミの部分の円周にそって、昔の十円玉のように縦にすじが入っていると同時に横にもグルっと一周、すじが入っていて二枚の金属を貼りあわせているように見せている。
そうなると新たな疑問は、二重画鋲が作られる前に、一重画鋲もしくは、ただの画鋲が存在していたのだろうかということなのだけれども、ちょっと調べた程度ではわからなかった。
コメント