半径1メートルの必要

こういう技術があるからどう活用しようか?
そんなふうに問われることがたまにある。
たとえば、深層学習という人工知能の技術が一躍有名になったので、ではこれを使って何か作ってみよう、とかだ。
こういうとき僕は少し困ってしまう。
僕は技術者なのだが、それ以前に作る人でもある。
技術者も作る人も同じではないかといわれれば、たしかに同じかもしれないが、作る人の場合、特に僕の場合はまず作る前提条件として、欲しいけれども今、存在していない、という条件がある。
欲しいけれども、存在していないので、自分で作る。
という順番なのだ。
だから、欲しいものを作るのに必要なのが技術であり、技術は欲しいものを手に入れる手段の一つでしかない。
この技術を使って何か作ることができないだろうかという考え方は僕にとって思考の順番がまったく正反対なのだ。
そもそも、誰かのために作るのではなく、自分が欲しいから作るのであって、そしてその欲しいというのは自分の半径1メートル程度の範囲の中にある。
半径1メートルの必要である。

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