扶桑社の<予期せぬ出来事>シリーズの三巻は、一時期はリチャード・マシスンとして上がっていた事もあったけれども、伸びに伸びた結果、ロバート・ブロックに変わってしまった。
まあ、ブロックならば、マシスンが順当に出たとしてもいずれこのシリーズの一冊として出てもおかしくない作家なので、どっちが先に出るかの違いにすぎないわけなんだけれども、今回も安定した品質のアンソロジーで、安心して楽しむことが出来た。
ただ、意外だったのは、「弔花」とか「ムーヴィー・ピープル」の二作で、怪奇小説ではあるものの、センチメンタルないい話で、ブロックがこういう話も書いていたことを初めて知った。
センチメンタルといえば「心変わり」もその系統の話で、今となってはその結末が早い段階で想像出来てしまうのがなんだけれども、こちらの結末はいい話ではない。
ショート・ショートでありながら三話で一つのセット構成となっている「殺人万華鏡」はちょっとした掘り出し物で、第一話は僕は、エラリー・クイーンの『ミニ・ミステリ傑作選』で読んだことがあったのだけれども、切れ味のいいショートショートで、堪能することが出来てよかった。
さて、次の予期せぬ出来事は誰の作品集なんだろうかと待ち続けているのだが、未だに続きは出ない。おそらくはこれで終わりなのだろう。
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