僕はSF小説は好きだったけれども、地方に住んでいたせいか、まわりに僕と同じようなSF好きがいなかったせいか、SFファンとしてのファン活動というのは行ったことがない。
なので柴野拓美というと、名前こそは知っていたけれども、その名前を知ったのは翻訳家である小隅黎の本名としてだったので、SFファンとしての柴野拓美ではなく、翻訳家としての柴野拓美という印象のほうが強い。
そういうこともあって僕にとってのSFの父というと前にも書いたとおり福島正実で、柴野拓美がSFの父というのがあまりピンとこない。
とはいえど、日本のSFの発展に多大な影響を与えた人であることには変わりがなく、こうして一冊の本にまとまったものを読むと、あらためて、僕の知らない世界で、いろいろなことが起こっていたんだなあと恐れ入るばかりなのだ。
同人誌「宇宙塵」上で評論活動していた時期が時期だけに、この本で触れられている作品もあたりまえのことだけどその時代の作品で、懐かしい気持ちにさせられる作品ばかりであるけれども、けっこう手厳しい批評が多く、それだけ真剣に読んでいたのだと思うと同時にだからこそ宇宙塵という同人誌から輩出された作家が沢山いたことに納得したと同時に今のSF作品に関しての批評も読みたかったという思いに駆られる。
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