卒業のカノン

『神様のパズル』のスピンオフシリーズもとうとう完結。
終わってしまうとなると、もうすこし続けてもらってもいいかなと思うけれども、そう思うくらいのところで終わるのがちょうどいいだろうと思う。
今回は太陽光発電にまつわる話で、今までとは異なりかなり現実的な技術を扱っている。とはいえども、ハードSFではないので技術的な問題に関しては、そんなに深くまで突っ込んでいない。
どちらかといえば主人公達の個人的な問題に関して終始している部分が多く、太陽光発電に関していえば、別に他の技術でも物語としては代用が効くという感じでもあるが、焦点となるのはエネルギー問題に関する部分なので、突っ込んでも仕方がない。
それよりも突っ込みたい部分はやはり前作における眉村卓の解説の部分で、前作『恋するタイムマシン』での眉村卓の解説は前代未聞というか、解説でありながら、ぜんぜん褒めていないところが凄まじかった。
作者自身もまさかあんな解説になるとは思っても無かったようで、作中とあとがきの両方でボヤている。
あとがきでぼやくのは仕方がないとはいえ物語の中で主人公たちに代弁させているのはおそらく、書いているときには自分があとがきを書くことができるとは思っていなかったせいかもしれないが、これにめげずに頑張ってもらいたいと思う。
シリーズ完結作ということで主人公たちの関係にも決着がつくし、主人公の穂瑞沙羅華もだいぶ普通の女の子っぽくなってきて、それが成長なのかそうではないのかはさておき、穂瑞沙羅華と綿貫基一がシャーロック・ホームズとワトソンをモチーフにしているという点を考えると、穂瑞沙羅華がだんだんと普通の人間の感情を持ち合わせてくるという状況はベネディクト・カンバーバッチ主演のドラマ「SHERLOCK」におけるホームズとワトソンとの関係と同じで、ツンデレ感が微笑ましい。

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