僕が小学校に上がったあたりの頃までは、人類は月まで行って月面上を歩いて、そして再び地球まで戻るということを行なっていた。いまは地球の周りを回る程度で、もちろんそれはそれで凄いことなんだけれども、それでも地球以外の星の上を歩くか歩かないかということの差は大きい。
現実のロケット開発は国家プロジェクトだったけれども物語の中の宇宙は民間におけるロケット開発という物語が少なくない。
もちろん民間によるロケット開発となると月まで行ってしまうあるいは他の星を目指すといった物語は記憶にある範囲では無いけれども、さすがに有人宇宙飛行がおいそれと簡単にできるものではないこともわかっているので、ロケットを打ち上げるという話だけでも充分にワクワクする。
で、この漫画もそうだ。
主人公はちょと金にうるさい普通のOL。会社の付き合いの飲み会の帰り道、小学校の同級生と出会う。
彼は親の経営する工場の片隅でロケット開発をしており、主人公に開発したロケットエンジンの燃焼実験を見せる。
たったひとりでロケットエンジンを作って、しかも燃焼実験を成功させてしまうだけの完成度。さらにはそれを使ってロケットの打ち上げをもくろんでいるとなると非現実的でもあるのだが、そんな些細な事など気にするほうがどうかしている。
一筋縄ではいかない登場人物たちの人物造形もさることながら、ロケットを打ち上げるということに向かって徐々に一直線になっていく物語。ロケット発射のシーケンスと発射後のロケットの状況確認と、ロケットを打ち上げるという物語のどこに魅力があるのかという部分は完璧に押さえ込んで描写されているので、何一つ不満はない。
で、何故ロケットを打ち上げるのかという目的に関しては読んでニヤリとしてもらいたい。
一冊できれいに完結させているのもいいね。
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