どんどんと描かれ方が研ぎ澄まされていく。
主人公である人工知能専門医の須堂ですらたった2コマしか登場しない話さえあるのだ。とりあえず主人公なので登場させておこうとしたのかもしれないが、無理して登場させなくても成立する話だったりする。
主人公が登場しなくても成立するくらいにテーマ性が際立っており、そこで描かれるテーマは多岐にわたっていて飽きさせない。
その一方で、そこで終わってしまうのかという部分は残っていて、もどかしさもあるが、むやみに深く追求するのではなく、冷たく見放しているかのような終わり方はこれはこれで押し付けがましさがなくってちょうどよいのかもしれない。
今回、なるほどと考えさせられたのはAIによる自動運転での事故という話だ。
この世界では事故を起こしたAIは処分されるという設定であり、それはAIに対する死刑という意味と同等で、AIであっても正解のない問題に対して何らかの答えを出さなければいけない状況では間違う場合もあり、その場合に間違ったAIは抹消するという形で人間に足してけじめをつけるという方法は、こういう方法もありうるのかと思った。
もう一つは、焚書にまつわる話だ。
倫理的に好ましくない漫画を書き続けている漫画家の話だが、倫理的に好ましくないということでそういう漫画を禁止するという方向に進んでいく。しかし、この漫画家はこう言うのだ。
どんどんと悪いことが増えていく。
やってはいけないことを次々と禁止していくことはつまり、やってはいけない悪いことが次々と増えていくということにつながる。
単純に悪いことを禁止しても悪いことは増えていく。
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