ウィザードリィの深淵

かつて僕がもっとも熱中したゲームの一つだった『ウィザードリィ』
といっても僕が熱中したのはファミコン版だったので、その前のパソコン版で遊んでいた人たちからすれば生ぬるいゲーマーだったともいえる。
もちろんファミコン版がパソコン版にくらべてゲームの難易度が下がっていたというわけではない。
ゲームの難易度の部分ではなくそれ以外の部分でパソコン版のほうがめんどくさかったのだ。
そもそもパソコン版はフロッピーディスク起動だったので、まだその当時はハードディスクにインストールするという概念がなく、だからゲームを進めていく上で何度もディスクアクセスが入り、ゲームが中断する。
ダンジョンの扉を開けばディスクアクセスが始まるし、モンスターと遭遇して戦闘になればディスクアクセスが始まる。さらには戦闘において呪文を唱えるときには呪文の名前をキーボードから入力しなければならないのだ。まだコマンドから呪文を選択するというようなインターフェイスは無かった時代のゲームだ。
しかし、ファミコン版ではROMカセットなのでディスクアクセスで中断されるということはなく、呪文もコマンドから選択するというインターフェイスに変わったのでとにかく快適にゲームを楽しむことができた。
それでいてゲームとしての難易度は同じで、どんなにレベルを上げたとしても、一撃で死ぬ。
一撃で死なないにしても、呪文の中にはヒットポイントを1桁に減らしてしまう呪文があり、敵がその呪文を唱えてしまうと、瀕死の状態になってしまうので、そのまま敵の攻撃を受ければヒットポイントは0になり死んでしまう。
さて『ウィザードリィ』というゲームの面白さはここからで、死んだキャラクターは必ずしも蘇生できるとは限らないのである。
寺院でお金を払って蘇生を試みることが出来るが、失敗すると灰になってしまう。灰になった状態で、更に倍額のお金を払えば再度復活を試みることが出来るのだが、それでも失敗するとLOST、つまりそのキャラクターは失われてしまうのである。
キャラクターが死ぬのは戦闘だけではない。戦闘後に発見される宝箱には罠が仕掛けられていることがあり、宝箱を開けるためにはまず、罠が仕掛けられているか調べなければいけなく、罠の種類が判明したらその罠を解除しなければいけない。
罠の種類の判別は100%わかるわけではなく、一定の確率で間違った罠として判別してしまう。罠を正確に見抜くことができたとしても罠の解除に失敗してしまう場合もある。
で、罠のなかには、迷路の任意の場所にテレポートさせてしまうという罠がある。どこに飛ばされるかはランダムであり、このゲームの迷路は20×20の正方形の迷路なのだが地下深くになるにつれて、20×20のマス目全てが通路というわけではなく、入ることができない場所も存在してくる。
入ることのできない場所というのは石であり、テレポーターの罠は石のある場所にでも容赦なくキャラクターたちを飛ばす。そして石の中に飛ばされたキャラクターはその時点でLOSTしてしまう。最大6人編成で行動するゲームなのだが、6人全員が失われるのだ。
戦闘において全滅した場合、死体はその場所に放置される。
蘇生を試みるためには、新たなキャラクターを作り育て、死んだ場所まで行き、死体を回収しなければいけない。さらには死体もパーティのメンバーの一人として扱われるので5人以下のメンバーで救助隊を編成しなければいけないのだ。6人で行って全滅した場所に5人以下の人数で行かなければいけないのである。
キャラクターが失われるのはそれだけではない。
ヒットポイントやマジックポイントを回復するために宿屋で宿泊する必要があるのだが、宿泊すると一定の時間が経過する。そしてその一定の時間が積み重なっていくとあるとき、お誕生日おめでとうというメッセージとともに年齢が加算される。
年齢が加算され続けるとある時、老衰で死ぬ、というかLOSTしてしまう。
そんなゲームだった。
この本は、このゲームに関わった人たちのインタビューを中心とした同人誌。
いろいろと今まで知らなかった裏話などがあり、またやってみたいと思わせるのだが、時間だけは腐るほどあった学生時代だったからあれほど熱中できたわけで、老後の楽しみのとっておくしかないのかもしれない。


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