彼方のアストラ

SF版十五少年漂流記だと思っていたら、それ以上のアイデアと驚きをぶち込んできたので驚いた。
学校教育の一環としてとある惑星で一週間のサバイバル生活、といっても危険な生物がいるわけでもないのでキャンプ生活に近いのだが、ドキドキワクワクの楽しい一週間を送ることができると思っていた9人の登場人物たちは突如現れた謎の光球に吸い寄せられて気がつくと5000光年離れた宇宙空間に飛ばされてしまう。幸運なことにすぐ近くに宇宙船があり、かろうじて生き延びることができたのだが、この宇宙船を使って帰ろうにも5000光年という距離はとてつもなく遠い距離であり、燃料はともかくとして食料と水が尽きてしまう。
そこで食料と水を供給することができそうな惑星に立ち寄りながら帰還を果たすというのがメインの物語。
そこに9人の仲間の中に今回の事故を起こした人物がいるという設定や、途中で立ちよる惑星のさまざまな生態系とこれでもかというネタが投入される。
帰還するまでに様々な惑星に立ち寄るという設定はE・C・タブの<デュマレスト・サーガ>を彷彿させる一方で、味方の中に裏切り者がいて、途中途中で奇妙な生態系に出会うという点ではジャック・ヴァンスの『大いなる惑星』を彷彿させたりするのでジャック・ヴァンスファンとしては楽しい。
が、4巻になるとさらに予想もだにしなかった真相が明らかにされ、タイトルの意味も判明し、いったいどこま大ネタをぶち込んでくるのか、それらをうまくまとめ上げることができるのか不安と期待の両方だ。

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