虚ろなる十月の夜に

まさか、ロジャー・ゼラズニイの未訳の小説が翻訳されるとは思わなかった。
ロジャー・ゼラズニイの翻訳がされなくなって久しいし、ロジャー・ゼラズニイが亡くなっても久しい。翻訳されたもののうち数冊は復刊したことがあるがそれっきりで、何で読んだのか忘れてしまったが『Isle of the Dead』が傑作という文章を読んで、これが翻訳される日が来ることを楽しみに待ち続けていたのだが、まったく出る気配すらもなかった。
ひょっとしたら傑作とまではいかない作品なのかもしれない。
しかし『Isle of the Dead』が僕の中ではゼラズニイの傑作であるということが刷り込まされてしまっているのでゼラズニイの長編はあまり読まなかった。というのも昔の僕はその作家の傑作からまず読む、ということをしていたからだ。
まあ、それはさておき、今はそんなこだわりなど無くなってしまったのでその時点で興味のあるものならば順序に関係なく読むのだが、それにしてもゼラズニイである。驚きだ。
で、読んでみると、うーん、ゼラズニイってこんな感じだったのかな、という印象。そもそもゼラズニイを読んだのはかなり昔なので覚えていない部分もあるのだが、それ以上に扱っている題材が題材で、今となっては既視感しかない。もっと早く出ていればそんなことなど感じなかっただろうけれども。
といいつつも中盤過ぎ辺りから面白くなり始めて、やはりゼラズニイはゼラズニイというか過剰に期待をしなければ面白いし、物語の着地のさせかたもうまい。

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